14/05/2026
日本ワインを深く考える夜。
昨日は、かなり贅沢な日本ワインの会でした。
ボーペイサージュ、ミエイケノ、城戸ワイナリー、ファンキー・シャトー、ヴィノクローブ、10Rなど、日本ワインの中でもそれぞれに強い個性と思想を持つ造り手たちを一度に比較。
改めて、日本ワインはもう「日本で造っているから面白い」という段階ではなく、きちんと世界のワインの文脈で語れるものが増えてきていると感じました。
特に印象的だったのは、ボーペイサージュ、ミエイケノ、城戸ワイナリー。
ボーペイサージュは、白も赤もやはり独特。
a hum 2020は、果皮由来の旨みや複雑さがありながら、揮発酸が立ちすぎず、ワインとしてのバランスが非常に綺麗。ナチュラルワインにありがちな不安定さではなく、旨み、酸、苦味、余韻が自然にまとまっていて、「自然派だから面白い」ではなく、単純にワインとして美味しい。
そして驚いたのが、TSUGANE le bois 2022。
カベルネ・フラン。
日本でここまで綺麗なカベルネ・フランが造れるのかと、かなり衝撃を受けました。青さはあるが、それは未熟さではなく、茎、ハーブ、森の空気のような美しい品種個性として出ている。赤系果実、すみれ、土、ハーブ、細かなタンニン、澄んだ酸。
世界中のワイン好きがボーペイサージュを追いかける理由が、少し分かった気がしました。
ミエイケノのメルローは2023年と2014年レゼルブの飲み比べ。
2023年はまだ若く、タンニンや酸の輪郭に硬さはあるものの、ガチガチではなく、果実味がしっかり感じられる。昔飲んだ2016年の印象と比べると、近年は若いうちからでも飲み手に開かれているように感じました。抽出や樽で押すのではなく、果実の透明感と酸の美しさを前に出している印象。
一方で、2014年レゼルブは圧巻。
日本ワインで10年以上熟成して、へたるどころか、果実味がきちんと残り、メルローらしい茎っぽさ、土、紅茶、クローヴ、こなれたタンニンが美しくまとまっていました。
日本ワインというより、熟成したボルドー右岸の優しいワインのよう。派手さではなく、しみじみと美味しい。日本のメルローにも、ここまで熟成の奥行きがあるのかと驚かされました。
城戸ワイナリーのプライベートリザーブ・ピノ・ノワール2021も素晴らしかった。
城戸のピノは、以前2014年を飲んだ時の感動が忘れられない。
淡い色調、繊細な抽出、赤系果実、酸、旨み、余韻。いわゆる“薄うま系”の極みのようなワインで、ビゾなど世界中のワインラヴァーが追い求める、あの「淡いのに深い」感覚に通じるものがありました。
今回の2021年も、色からして完全に薄うま系。
まだ若さはあるが、フランボワーズ、ラズベリー、紅茶、乾いたハーブ、土のニュアンスがあり、すでに城戸らしい透明感とエキス感が見える。
ファンキー・シャトーやテール・ド・シエルなど、長野の冷涼な赤ワインに通じる繊細さがありつつ、城戸独自の品の良さがある。
2014年の経験があるからこそ、これは熟成したらもっともっと良くなると確信しました。
この会を通して感じたのは、日本ワインの良さは、単に「繊細」「薄い」「優しい」だけではないということ。
良い日本ワインには、淡さの中にエキスがあり、酸の中に骨格があり、青さの中に品種個性があり、熟成の中にきちんと奥行きがある。
濃さやアルコールや樽で分かりやすく押すのではなく、土地、品種、人の手の距離感で飲ませるワイン。
その美しさを、改めて強く感じた夜でした。
日本ワインは、もう十分に世界の中で語れる。
そして、熟成によってさらに評価が変わっていくワインも確実に存在する。
本当に貴重なラインナップをありがとうございました。
めちゃくちゃ勉強になったし、日本ワインの可能性を改めて感じる素晴らしい会でした。