30/06/2026
なない 『希望とユーモア』
はじめは、料理でした。
その料理に希望はあるのか。
ユーモアはあるのか。
そんな問いとともに、
一皿ずつ料理を作ってきました。
いつしか、その問いは料理だけではなく、
自分の生き方そのものの指針になりました。
その選択に希望はあるのか。
その決断にユーモアはあるのか。
迷ったときは、
いつもそこに立ち返ります。
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なないをはじめてから、
十年が経ちます。
体力も、気力も、
季節も、お客さまも、世界も、
少しずつ変わっていきます。
十年前のようにきびきび動けないし、
十年後は、髪の毛はほとんどないでしょう。
それでも、
「なない」という場所だけは、
できるだけここで続けたい。
それが、いまの私の希望です。
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数か月前に、
スタッフだけの営業を試みました。
その時の私は、
安心してもらえるだろうと思い、
客席に座っていました。
でも、生来の自分大好き人間。
気がつけば、
カウンターの中に入っていました。
失敗。
あの時の私には、
覚悟が足りなかったのだと思います。
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もう一度、
試したいと思いました。
今日から火曜日と水曜日は、
スタッフが中心となって営業します。
料理は、これまで通り私が仕込みます。
でも、店に立つのはスタッフです。
私はサイゼリヤで大学の勉強をしたり、
プールでバタフライを見せつけたりします。
少しだけ店を離れて、
店が変わっていく時間を見守ろうと思います。
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いま、私が目指したいのは、
「私がいる店」ではありません。
誰かがいる店です。
誰かの疲れた一日の終わりに、
静かに誰かがいる。
そこには、
心を躍らせる派手な料理ではなく、
心がすっと落ち着くような料理がある。
そして、
ほんの少しだけ季節の移ろいを感じられる、
小さな驚きがある。
忙しない一日の終わりに、
ふと、
「ああ、疲れたけど、悪くない一日だったな。」
そんなふうに思っていただける場所でありたい。
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スタッフ営業は、
正直、不安もあります。
うまくいかない日ばかりかもしれません。
でも、
店を長く続けるためには、
必要な挑戦だと思いました。
五年後も、
十年後も。
なないという場所で、
今日と同じように、
誰かの一日が静かに終わっていくために。
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スタッフ営業という選択に、
希望はあるのか。
ユーモアはあるのか。
きっと、ある。
何年か経ったとき、
「あの時、始めてよかった。」
そう笑って話していたい。
……いや、
ダメでも、
話のネタにはなるでしょう。
まずは、始めてみます。
どうぞ、
今夜からよろしくお願いします。