20/05/2026
なんの役にも立たず、平和な話題をひとつ。シャンパーニュ(あるいは飲み物全般)に含まれる果実香の種類によって、酸味の感じ方が変わるという話です。レモンやライムなど柑橘類の香りが豊かなシャンパーニュを飲むと、酸味が強く感じられます。逆に、洋梨、白桃といった、さほど酸っぱくない果実の香りだと、酸味は穏やかです。これは、含まれている酸味の量が化学的に同一でも、明らかな差として現われます。確かめたければ、炭酸水に同量のクエン酸を溶かし、そこにレモンと白桃のエッセンスを数滴垂らしたあと、飲み比べてみてください。驚くほど、酸味の感じ方がちがいますから。
この不思議な現象の背後にあるのは、脳の学習と無意識の予測というメカニズムです。私たちは過去に柑橘類の匂いをかぎ、果汁を舐めた際に『ああ、すっぱい』と感じる体験をしています。洋梨や白桃では、これが『甘い、甘酸っぱい』でしょう。脳はこの、香りと味わいの関連を学習し、記憶します。ひとたびこのつながりが完成すると、脳がレモンの香りを感知した瞬間、強い酸味を予測するようになるのです。その結果、舌が実際に受ける酸の刺激がブーストされ、より強く認識されてしまいます。
この現象、何か応用はできそうです。たとえば、桃のエッセンス(食用)を予め用意しておきます(100ml瓶が、2,500円ほどで購入可能です)。飲んでいるシャンパーニュについて、『酸が強すぎる』と感じられるときに、桃エッセンスを瓶口から数滴垂らしてやると、さほど酸っぱくなくなります。便利といえば便利です。ただ、ワタシ個人について言うなら、そんな小細工をしようとは思いません。エッセンスを入れると、アロマの構成も、味全体のバランスも崩れ、生産者が意図したワインではなくなるからです。だからワタシは、味が好みでなくても、その瓶は『勉強』と思って飲み干し、次から別の銘柄を買うようにします。最後に一言。ルラージュ・プジョーなら、アロマと酸味の結びつきは、いつもバッチリですよ🥂😃
●話(中の人):都内某超高級ホテルでサービスする若手イケメンソムリエ。シャンパーニュに精通。
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